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肩が上がらない原因と対処法【理学療法士が徹底解説】

「肩が上がらない」

「肩を動かすとズキッと痛む」

「夜中に目が覚めるほど辛い」


そんな悩みを抱えていませんか?

この記事では、理学療法士として五十肩治療責任者として臨床経験を積んできた私が

肩が上がらない症状の原因と、正しい対処法を徹底解説します。

特に五十肩(肩関節周囲炎)初期の対応に悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。

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肩が上がらない原因は「五十肩」かも?

肩が上がらない原因は「五十肩」かも?についてお話しします。

肩が上がらない原因はさまざまありますが、中でももっとも多くの方に見られるのが、五十肩(肩関節周囲炎)です。

では、五十肩とはどんな疾患なのでしょうか?
ここでは、五十肩治療責任者としてリハビリ現場で実際に患者さんを診てきた理学療法士の視点から、詳しく解説します。

五十肩とは?正式名称は肩関節周囲炎

五十肩とは?という名前は通称で、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれます。

実はこの名称、1つの明確な疾患ではなく、いくつもの肩の不調の総称です。

症状の特徴をご紹介します。

✅ 五十肩の主な特徴

  • 30〜70代の男女に多い
  • 明確な原因がないのに痛みが出る(非外傷性)
  • 肩が徐々に動かなくなる
  • 夜中にズキズキと痛む(夜間痛)

✅ 五十肩の主な原因は?

五十肩の主な原因については現在でもはっきりした原因は解明されていません。
しかし、近年のガイドラインでは以下が有力とされています。

💡動かさなすぎ(Disuse>使いすぎ(Overuse)が要因

つまり、肩を動かさない生活習慣や加齢による筋力・血流低下などが重なり、関節周囲組織が癒着・炎症を起こすと考えられています。

では実際に五十肩に含まれる疾患はどんなものがあるのでしょうか?

五十肩のと診断される場合は20種類以上の疾患の集合体

五十肩と診断されるケースの中には、おおむね以下のような状態が含まれていることもあります。

# 疾患名(和/英)
1 腱板部分断裂/Rotator-cuff partial tear
2 腱板完全断裂/Rotator-cuff full-thickness tear
3 棘上筋腱炎/Supraspinatus tendinopathy
4 棘下筋腱炎/Infraspinatus tendinopathy
5 肩甲下筋腱炎/Subscapularis tendinopathy
6 小円筋腱炎/Teres minor tendinopathy
7 石灰沈着性腱板炎/Calcific tendinitis
8 肩峰下滑液包炎/Subacromial bursitis
9 三角筋下滑液包炎/Subdeltoid bursitis
10 上腕二頭筋長頭腱炎/Bicipital tendinitis
11 上腕二頭筋長頭腱亜脱臼・断裂
12 肩インピンジメント症候群/Subacromial impingement
13 変形性肩関節症/Glenohumeral osteoarthritis
14 肩鎖関節炎/Acromioclavicular arthritis
15 肩鎖関節脱臼(外傷性不安定)
16 SLAP 損傷(肩関節上方関節唇損傷)
17 多方向性肩不安定症/Multidirectional instability
18 凍結肩(狭義の五十肩)/Adhesive capsulitis
19 上腕骨近位端骨折/Proximal humerus fracture
20 胸郭出口症候群/Thoracic outlet syndrome

そのため、五十肩=「これをすれば治る」ではなく、状態に応じた対応が不可欠です。

ちなみにこの中でレントゲンでわかることは、

  • 石灰沈着性腱板炎
  • 変形性肩関節症
  • 上腕骨近位端骨折

おそらくこの3つだけです。

(骨折を含めるかは解釈が分かれると思います。)

五十肩になりやすいのはどんな人?

五十肩になりやすいのはどんな人?について以下に該当する方は、特に注意が必要です。

  • デスクワーク中心で肩を動かす機会が少ない
  • 運動不足気味 or 筋トレを急に始めた
  • 以前、肩や腕をケガしたことがある
  • 40〜60代で甲状腺疾患や、糖尿病を患っている

 

少しでも肩が上がらない、肩を上げようとすると痛い場合はその時点で、実は五十肩の初期段階に入っている可能性があります。

五十肩の炎症初期で見られる症状チェックリスト

五十肩の炎症初期で見られる症状についてご紹介します。

下記に1つでも当てはまる場合、早めの対応が必要です。

  • じっとしていても肩がズキズキ痛む
  • 夜中や明け方に痛みで目が覚める
  • 洗髪や更衣など、日常生活動作に支障がある
  • 腕をバンザイしても90度以上上がらない

続くパートでは、この炎症初期の五十肩への最適な対処法を詳しく解説していきます。

五十肩の進行ステージと対応のポイント

五十肩の進行ステージと対応のポイントについてご紹介します。

五十肩は自分が今どのステージにいるかで最適なケアが大きく変わります。

以下では 3つの典型的フェーズ(炎症期・拘縮期・回復期) と、それぞれで押さえるべき施術/セルフケアの要点をまとめました。

ステージ 期間の目安 主な症状 施術・セルフケアの強度 ゴール
炎症期/Freezing Phase 発症〜2〜3週 安静時痛・夜間痛・90°以上の挙上困難 極低負荷(ポジショニング+最小限の運動) 痛み鎮静・拘縮予防
拘縮期/Frozen Phase 約3週〜3か月 痛みは減少、可動域制限が主体 中〜高負荷のモビリゼーション+ROM訓練 可動域拡大・肩甲胸郭リズム再学習
回復期/Thawing Phase 約3か月以降(+2か月前後) 可動域回復・筋力低下が課題 高負荷レジスタンストレーニング & 機能的ADL訓練 仕事・スポーツ復帰

期間はあくまで平均的目安で、基礎疾患や誤った対応があると半年〜4年に及ぶケースもあります。

次は病期についてさらに詳しくご紹介します。

 

炎症期/Freezing Phase

  • 期間:症状出現〜約2〜3週間
  • 典型症状:就寝・安静時の強い疼痛、夜間痛で目が覚める、バンザイしても90°未満
  • キーポイント
    1. 徹底した安静・ポジショニング

      • 肩甲骨・肘・前腕を支持し、痛い側を下にしない

    2. 極低負荷エクササイズ(きらきら星・はばたきなど)で拘縮を起こしやすくや貫通の原因になりやすいインナーマッスルを賦活

    3. 自己管理指導で夜間痛を早期消失させ拘縮を予防

NG行動:「痛いけど動かした方が良い」は初期には逆効果。まずは炎症を落ち着かせることが最優先です。

ポジショニングについてはこちらの動画でもご紹介しています。

【危険な激痛の改善方法】簡単3ステップで今夜から熟睡!【肩自在】

https://youtu.be/i39He-r4DSI

 

拘縮期/Frozen Phase

  • 期間:おおむね3週間〜3か月
  • 典型症状:夜間痛は減少、可動域の硬さが主訴
  • 施術・セルフケアの軸
    • 中〜高負荷の関節可動域改善運動(関節モビリゼーション、ストレッチ、PNF)

    • 拘縮改善手技+肩甲胸郭リズムを再学習する反復運動

ポイント:痛みが許す範囲で“伸ばし切る”感覚を覚えさせ、動作の誤学習を防ぐことが回復期のスムーズな筋力強化につながります。

 

回復期/Thawing Phase

  • 期間:発症から3か月以降〜+2か月前後

  • 典型症状:痛みは軽度、日常動作は可能だが筋力不足を感じる

  • 施術・セルフケアの軸

    • 高負荷レジスタンス&機能的エクササイズで筋力と運動パターンを最終調整五十肩初期 セラピスト向けpptx

    • スポーツ・舞台・重作業など**“現役復帰”**を想定した動作トレーニング

    • フォーム改善と再発予防(肩甲帯・体幹の協調性)

注意:ここで負荷を上げきらないと、可動域制限の後遺症が残りやすいので、段階的に負荷を上げる設計が必須です。

まとめ

  1. ステージ判定がすべて:フェーズを見誤ると治癒が長期化。

  2. 炎症初期は“守り”、拘縮期は“ほぐし+広げ”、回復期は“鍛える”と覚える。

  3. 基礎疾患・生活習慣で長期化しやすいので、専門家の評価+個別プランが最短ルート。

 

筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。

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