なぜ肩を専門にするのか

はじめに

元々、クリニックで五十肩リハビリ治療責任者として年間5200人以上がリハビリに訪れるクリニックで働いていました。

またあまりにも五十肩の悩みが深いため、自身でも2022年よりパーソナル整体「肩自在」を開いていました。

 

なぜ五十肩や肩の疾患にそこまで思い入れがあるのか。

そんな話をしようと思います。

 

五十肩はじめ肩のトラブルを専門に始めた理由

2019年の3月末のまだ肌寒い季節のことです。

「リハビリで来月までになんとか肩が上がるようになりませんか!」

病院に駆け込んで、早々に私に訴えてきた1人の患者さんがいました。

 

そんなに焦って一体何があったのか詳しく話を聞くと、

実は骨折して手術をして、担当医からは自分で動かすように言われているんですが、全然よくならずとても困っています。

来月から自分の美容室を開業するのに間に合わないと本当に困るんです。

と、とても辛辣な様子で話してくれました。

 

さらに詳しく話を聞くと、その方は奥さんと小さな赤ん坊含む3人の子供を持つお父さんでした。

 

「もし自分が働けなくなったら、家庭が回らなくなってしまうんです。」

まるでマンガのように青い顔をして心底落胆した様子でした。

 

肩が動かないことで、仕事も家庭も成り立たなくなってしまう。

自分も社会の一員として、この辛さや不安にはとても共感できました。

この問題を解決することは私の理学療法士経験年数10年(当時)の中で、1番の重大なミッションだと感じて奮い立ちました。

 

その日に体の状態をチェックし、リハビリの段取りを組み、目安のゴール時期を設定しました。

肩の手術後に3ヶ月以上リハビリせず、動かさずの状態というのは正直とても悪いコンディションで、期日までに間に合わせるには奇跡的な改善が必要でした。

 

しかし、決められた期日までに働けないと仕事も家庭も回らないという事実は揺るぎません。

ですので私は、

美容室の開院時には絶対不自由なく仕事ができる状態にします!

と無理やりに約束しました。

 

根性論と否定する方もいると思いますが、こうすれば絶対に間に合わすしかないからです。

 

それからは日々、リハビリの目標を淡々とクリアしていく毎日でした。

通院が難しい日にはホームエクササイズも事前に打合せ、しっかりと実行していただきました。

 

そして美容室のオープンの日-

奇跡的に頭の上まで腕は上げられるようになり、カットの複雑な姿勢も取れるようになった姿がそこにはありました。

無事に復帰でき、美容室もオープンできたことで何度もお礼を言われ、とても感謝してもらえたのを覚えています。

私自身もとても嬉しく、心に残る出来事でした。

 

これが私が肩の治療に従事していく!と決めたきっかけです!

人のできなくなってしまったこと、やれなくなってしまったことを私の治療で再び復帰できるようにする。

そもそも、このようなトラブルが起きないように危機回避ができる。

 

これができたら今よりももっと素晴らしい人生になると思うのです。

 

その人は今でも肩には何の問題もなく、美容師を続け、3人の子供のお父さんとしても日々奮起し、

そして、実は私の担当美容師としても活躍しています。

 

この感動を治療を通してもっとたくさんの方に感謝され、信頼をいただきたいと思い、日々肩の情報発信や治療を行っています。

 

  • あなたの思うように肩を自在に使って生活できるようになってほしい。
  • 全員が肩を自在に動かせて肩のトラブルに悩む人をゼロにしたい。

これが私の肩を専門とし、情報発信を続けている思いです。

 

肩自在ブログ設立の目的について

肩自在ブログの設立目的についてお話しします。

肩は体の関節の中でもトップクラスに複雑で、治療も難解です。

それにも関わらず、肩をより簡単に説明したり、疑問に答えているブログが少ないと感じたことが肩自在ブログ設立の目的になります。

 

ではなぜ肩関節が複雑で、治療も難解なのかその理由を詳しくご説明します。

肩というのは主に上腕が肩甲骨、鎖骨に収まってその間を筋肉や靭帯などの組織とくっついて構成されています。

他の関節と大きく異なるのは、関節の可動範囲がとても大きいということです。

 

例えばご自身の指、第一、第二関節を曲げ伸ばししてみてください。

曲げ伸ばしはできますが、捻ったり、斜めに傾けたりすることは難しいですよね。

肩の場合は、前後左右、捻って後ろに回したり、斜め横に手を伸ばしたり、自在に行うことができます。

 

このルーツをたどると、進化の過程で四足歩行から二足歩行になるする際に、自由になった前足が発達したものが、私たちの腕、肩です。

先人たちはこの腕、肩を自由に使えることで、木の上の高いものを取ったり、石を投げて狩猟できるようになりました。

 

このように肩関節は大きな可動範囲を持つことに加え、さらに現代ではMLBの大谷翔平選手しかりボールを160km/hで投げるというのも決して珍しく無くなっています。

肩関節は大きな可動範囲(柔軟性)を持ち、大きなパワー(剛性)も発揮できるということです。

 

これは実は当たり前のことではなく本来は可動範囲と、パワーの関係は相反します。

ですが、肩だけは大きな可動範囲(柔軟性)と大きなパワー(剛性)という矛盾した二つの特性持っています。

この矛盾を兼ね備えた関節は他にはありません。

 

ただこれは決していいことばかりではありません。

肩に大きな可動範囲があるということは、少し何かか狂ったり、ずれたりするだけでも脱臼のリスクがあります。

 

肩関節脱臼は関節脱臼のうち約半分を占める

Prudhvi, M: Management of recurrent shoulder dislocation by arthroscopic repair. Journal of Medical Science and Clinical Research, 8(10),2020.

と言われていることからも、いかに不安定であるかがわかります。

不安定に加えてパワーが発揮できるとなると、肩関節には相当なストレスがかかり容易にトラブルが生じやすいことがイメージできるでしょう。

 

また、大きな可動範囲(柔軟性)と大きなパワー(剛性)の矛盾する二つを兼ね備えているということは制御系がとても複雑です。

その複雑さ故、一度損傷を受けると狂った制御系を元に戻すのはとても難しいのも肩関節の特徴と言えます。

 

どこかを痛めれば、その組織をかばい逆に全く使えなくなってしまう筋肉があるので、損傷部位以外にも広範囲に影響を起こします。

これによって肩の運動は大きく阻害され、絡まった糸を解くかの如く難しく、複雑な症状となってしまうのです。

 

五十肩はじめ肩にトラブルを経験した方でしたらこの難解さはご理解いただけるかと思います。

これに加え、持病の有無や個体差、生活習慣・仕事環境、心因性ストレスなど様々な影響が肩の治療を阻害すると考えられています。

こちらはその一例です。

 

糖尿病は、腱の構造的、炎症的、血管的変化を引き起こすため、肩腱板腱の治癒における重要な危険因子と考えられています。

Yoon, J., Park, S., Choi, Y., Kim, D., Lee, H., Park, E., & Chung, S: Current research trends on the effect of diabetes mellitus on rotator cuff tendon healing/tendinopathy.. Archives of orthopaedic and trauma surgery. 2024.

 

長くなりましたが、これだけ複雑な肩関節を、わかりやすく簡単に説明するなど、途方もなく難しいことがわかっていただけたのではないでしょうか。

 

有識者ですらわかっていないこともたくさんある中で、一介の理学療法士がそれをやろうというのは難しいだろう。

そのご意見も承知の上です。

 

ただ今この時にも悩んでいる人は、間違いなくたくさんいて、その方達を解決に導いてあげられない状況は一人の治療者としてとてももどかしく、そして何より辛いです。

 

難しいからやらない。

できない。

言うことはとても簡単です。

 

「だったらいしPがやろうじゃないか。」

肩の治療に長年従事し、五十肩の治療責任者にまで抜擢された、知識、経験をより活かすなら、ブログにして悩める多くの人を助けたい。

 

それが肩自在ブログ開設の思いです!

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