肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足?それとも取りすぎ?

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肩のトラブル
  • 肩の石灰化になったのはカルシウムが不足していたからなのか、取りすぎなのかを知りたい
  • 肩の石灰化になったので治し方や防ぐにはどうしたら良いのかを知りたい
  • 肩の石灰化はどんな原因でなりやすいのかを知りたい
  • 肩の石灰化になりやすい食べ物と治すには何を食べれば良いのかを知りたい
  • 石灰沈着性腱板炎と肩の石灰化の違いを知りたい

今回はそんな肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足なのか、それとも取りすぎで起こるのか。

実際に石灰化になった時の治し方や、どれくらいの期間で治るのか?

また石灰化を溶かす食べ物があるのかについてお話しいたします。

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筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7355人肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中

論文の知見も交えつつ、肩でお悩みの方になるべくカンタンにわかりやすくお話ししていきます。

 

詳しくはコチラのInstagramもご覧ください。

 

肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足?それとも取りすぎ?

 肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足か取りすぎかについて結論からお話しします。

ズバリ、カルシウム不足が肩の石灰化を起こす可能性があります。

ただし、それだけではなく、リンの摂取も大きく関係します。

なぜカルシウム不足で石灰化が起こりやすくなってしまうのか。

リンの摂取はどんな関係があるのか。

これを説明するのには、どのような機序で石灰化が起こるのかと言う説明が必要になりますのでこちらをお伝えします。

 

肩の石灰化とは何か

そもそも肩の石灰とはなんなのか。

その正体はリン酸カルシウムです。

リン酸カルシウム=ハイドロキシアパタイト 

とも言われ、私たちの歯とか骨を構成するものです。

 

このリン酸カルシウムが肩に沈着することで石灰化が起こります。

この肩の石灰化は、一般的に五十肩と言われるものの症状の一つで、正式には石灰沈着性腱板炎と呼ばれています。

この石灰沈着性腱板炎が発生する原因の代表的な説をカンタンにご紹介します。

リンはカルシウムの吸収を阻害する効果があります。

ですので、

  1. リンの多い食事をたくさん摂取する
  2. 摂取したリンの作用でカルシウムの骨への吸収を阻害してしまう
  3. リンに吸収を阻害されたカルシウムがリン酸カルシウムとして血中に排出される
  4. 血中から尿として排出されなかったリン酸カルシウムが少しずつ肩に溜まる
  5. 肩の石灰化になる

おおむねこのようなプロセスで、年齢は50歳前後に発症します。

ですので、リンを過剰に摂取した場合は、血中に排出されるリン酸カルシウム量が増え、肩に石灰が溜まりやすくなるということです。

ここで疑問に思った方もいると思いますが、最初にお伝えした話でカルシウムが不足している場合でも石灰化は起こると説明しました。

なぜそんなことが起こるのか?

これにはカルシウムパラドックスと言う、また小難しい横文字の理解が必要になります。

私も難しい横文字がキライなので、カルシウムパラドックスについて超カンタンにご説明します。

 

カルシウムパラドックスとは?

カルシウムパラドックスについて、超カンタンにご説明します。

 

  1. 体内へのカルシウムの摂取量が少ない
  2. 伴って血液の中のカルシウム濃度が薄くなる
  3. 薄くなった血中カルシウム濃度を補うために、骨からリン酸カルシウムが排出される

 

つまり、体にはカルシウムが足りないのに、骨からカルシウムを排出してしまうと言うおかしな現象が発生するのです。

 

このことを、カルシウムパラドックスと呼んでいます。

これらの項目をまとめると、

  • リンを過剰摂取すると骨から血中にリン酸カルシウムが排出され血中濃度が増加する
  • 血中カルシウム濃度が減ると骨からリン酸カルシウムが排出され血中濃度が増加する

2つのいずれかの機序で血中のリン酸カルシウム濃度が増加します。

これに加齢や、肩の変性も伴うことで肩に石灰が沈着しやすくなると考えられます。

 

また、ネットで調べていると、石灰沈着性腱板炎の原因はコーヒーではないかと言われる内容が散見されますのでこちらのご説明もしていきます。

 

石灰沈着性腱板炎の原因はコーヒーなのか?

石灰沈着性腱板炎の原因はコーヒーではないか。

疑問にズバリお答えいたします。

コーヒーは場合によって石灰沈着性腱板炎の原因になる可能性があります。

はっきりお答えできないのには理由があります。

前の項目で、リンの過剰摂取が血中カルシウム濃度を増加させ、肩に石灰が沈着しやすくなることはご説明しました。

 

つまりコーヒーに含有されるリンの量を見れば、原因になるかどうかわかると言うことです。

まずは成人に推奨されるリンの量についてご説明します。

1日のリンの摂取推奨量は

  • 成人男性1000mg
  • 成人女性800mg
  • 糖尿病患者800mg以下

とされています。

その上でリンの多い飲み物をご紹介します。

  • 牛乳 93mg
  • 豆乳 88mg
  • ビール 53mg
  • コーラ 39mg
  • 缶コーヒー 36mg
  • 缶ジュース 35mg

  • コーヒー14mg

*100gあたりのリン含有量

引用:日本食品含有量成分表2015

このように見てみると上位6つはリンの多い飲み物と言えますが、この中で、缶コーヒーと、コーヒーでは缶コーヒーの方がリンが多いとされています。

これは、缶コーヒーにリンの多い牛乳が含まれて計測されているためであると考えられます。

また、缶コーヒーの保存料なども影響している様です。

 

通常のブラックコーヒーでは14mgと飲み物の中でも少ない部類にと言えるでしょう。

石灰化を気にする場合はミルク入りの缶コーヒーの摂取は注意する必要がありますが、ブラックコーヒーに関しては過剰に注意する必要はないと考えます。

次は石灰化の治し方についてお話しします。

 

石灰化の治し方は?

石灰化の治し方については、まずは自分が石灰化だと診断していただく必要があるので、整形外科のある病院に行きましょう。

レントゲンで確定診断ができますので、整形外科であればどこでも問題ないかと思います。

しかしながら、こちらの論文をご覧ください。

無作為にレントゲンを撮って、石灰化のあった患者のうち、症状があったの35%〜40%であった。

Min-Su Kim,et al:Diagnosis and treatment of calcific tendinitis of the shoulder.Clin Shoulder Elb. 2020 Dec; 23(4): 210–216.

と述べられています。

 

また、こちらの論文では、

石灰は沈着と同時に再吸収するサイクルも発生している。

Uhthoff, H. K. et al : Calcifying tendinitis. A new concept of its pathogenesis. Clin. Orthop. 118 : 164- 168, 1976. 

と言われています。

ですので実は石灰があっても気づかず、放っている間に治っているなんていうことも十分あり得るわけです。

 

実際に治療が必要な場合は一般的な五十肩と同様に、

炎症期は

  • 注射
  • お薬
  • 管理生活指導

炎症が治まった後の拘縮期は

  • 運動
  • 必要なら注射、薬

拘縮期の後の回復期では

  • ほぼ運動のみ

と言う流れで改善を目指す事になります。

 

石灰化はどれくらいで治る?

石灰沈着性腱板炎は五十肩に含まれますので、五十肩の治療予後の目安を参考にします。

  • 炎症期=3-4週間程度
  • 拘縮期=3ヶ月程度
  • 回復期=2-3ヶ月程度

と、合計で半年程度での回復が見込めます。

 

しかしながら、糖尿病や甲状腺疾患、高血圧、高脂血症などの基礎疾患がある場合は、治療予後を年単位に長引かせます。

基礎疾患がない場合は半年程度、基礎疾患がある場合は1年ほどを見ていただくのが私の理学療法士の経験からご提案させていただいております。

 

これはあくまで実用的に肩を動かせるまでの時期の話ですが、実際に石灰がなくなるまでで考えますと、こちらもやはり年単位でかかる印象です。

しかし、先ほど論文を用いて説明した通り、石灰は沈着した段階ですでに石灰を体に再吸収するサイクルも働いていると言われています。

 

炎症期をすぎていれば肩に石灰が残り痛みがずっと続くということはまずありません。

ですので、まずは最短で炎症期を乗り切ることが、石灰沈着性腱板炎の治療を少しでも時短していくために大事になってきます。

 

次は肩の石灰化になりやすい食べ物についてご紹介します。

これを理解すれば予防もできるという事になりますね。

 

肩の石灰化になりやすい食べ物は?

肩の石灰化になりやすい原因はリンを多く含む食べ物であるとご説明しましたので、実際にリンを多く含む代表的な食べ物をご紹介します。

 

  • 桜えび素干し 1200mg
  • するめ 1100mg
  • いくら530mg
  • アーモンド 460mg
  • しらす干し470mg

*100gあたりのリン含有量

引用:日本食品含有量成分表2015

こう見ると、おつまみのような味の濃い物がリンを多く含んでいる事がわかります。

意外なところですと、

  • 玄米、ライ麦パン 130mg
  • ヨーグルト  100mg

などの一見健康食でよく食べられるものや、

  • チョコレート、ケーキなどの洋菓子 240mg
  • ポップコーン 290mg

など、おやつにも多いと言われています。

するめや、桜エビ素干しに関しては100g食べただけで1日のリンの摂取推奨量を超過する事になります。

 

では石灰を発生させやすい食べ物があるならば、石灰を溶かす食べ物もあるのではないかと考えた方も多いのではないでしょうか。

次はこちらのお話をしていきます。

 

肩の石灰を溶かす食べ物はある?

肩の石灰を溶かす食べ物は厳密にはありません。

ですが、肩の石灰が溜まりにくくなる方法は2つ存在します。

それは、

  1. リンの摂取を少なくすること
  2. カルシウムを欠乏させないこと

です。

 

肩の石灰化がリンの高い食べ物の過剰摂取、カルシウムの欠乏によって起こるのであれば、リンの高い食材を避けて、カルシウムの高い食材を摂取することで肩の石灰は溜まりにくくなると考えられます。

ですので先に紹介したリンの高いおつまみ、おやつなどを摂取しすぎないことが大事です。

カルシウムの高い食材もご紹介します。

  • 枝豆 1300mg
  • チェダーチーズ 740mg
  • 油揚げ 310mg
  • 塩昆布 280mg
  • モロヘイヤ 260mg

*100gあたりの含有量

これらを摂取するのが良いでしょう。

 

実は煮干しをはじめとする乾物もカルシウムはかなり高いのですが、リンも同じく高いためご紹介していません。

 

このように、肩の石灰を溶かす食べ物はありませんが、そもそも石灰化を起こさないようにリンの摂取量を減らす、カルシウムの摂取量を増やすことは、日常の食事を変えるだけでもカンタンに行うことができます。

 

肩の石灰化になりやすい原因はカルシウムの不足?それとも取りすぎ?まとめ

では肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足?それとも取りすぎ?についてまとめます。

 

  • 肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足と、リンの過剰摂取です
  • 肩に石灰が発生した場合の治療は基本的に五十肩と同じであり、診断と炎症期の治療は整形外科で行います
  • リンの過剰摂取を防ぐためには、おつまみ、おやつ類を減らすことが大事です
  • カルシウムを欠乏させないためには枝豆や油揚げなど豆類がリンも少なくおすすめです
  • 肩の石灰を溶かす食べ物はありませんが、食材の選定でリンの摂取量を減らしたり、カルシウムのを摂取することで石灰化になりにくくすることは可能です

これらの内容を調理してくれるご家族やパートナーにぜひお伝えして、石灰化にならないように、石灰化にすでになっている方は少しでも早く治るように頑張っていきましょう!

以上、肩の石灰化になりやすい原因はカルシウム不足?それとも取りすぎ?でした!

あなたの肩を自由自在に!いしPでした!

ではまた!

 

筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7355人肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中

論文の知見も交えつつ、肩でお悩みの方になるべくカンタンにわかりやすくお話ししていきます。

 

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