肩関節脱臼のリハビリ期間と全手順!保存固定からスポーツ復帰まで
「肩が脱臼してしまった!いつから動かしていいの?」
「リハビリをしないと、将来肩が痛くなるって本当?」
肩関節脱臼は、激しい痛みとともに、生活に大きな不自由をもたらします。
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肩が脱臼してしまったらとにかく長く固定して安静にすればいいと思っていませんか?
実は最新の治療指針では、固定は短期間(1〜3週間程度)にとどめ、早めにリハビリを開始することが推奨されています。
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この記事では、現役の理学療法士が、脱臼直後の過ごし方から、日常生活やスポーツへの復帰までの具体的な「リハビリ期間と手順」を解説します。
適切なリハビリは、再発を防ぐだけでなく、将来的な関節の変形を防ぐためにも非常に重要です。

焦らず、正しいステップで「元通り動く肩」を取り戻しましょう。
https://youtu.be/nl_3G09HJ_8
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として活躍した経歴がございます。
現在、実際にセッションを受けてみたい方はこちらから
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Contents
肩関節脱臼の治療期間、まずは「1〜3週間」が目安
肩関節脱臼の治療は、肩関節の整復をして終わりではありません。
むしろ、そこからの過ごし方が予後を左右します。
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肩関節脱臼後に長すぎる固定はNG?早期リハビリが必要な理由
肩関節脱臼になってしまったら「怖くて動かせないから、ずっと三角巾をつけていたい」と思うかもしれません。
しかし、最近の医学的な推奨では、固定期間は通常1〜3週間程度とされています。
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「1〜3週間って意外と早くない!?」
「そんな短い期間で大丈夫なの?」
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そう思った方へ、なぜ固定期間を1~3週間とするのかをご説明します。
それは必要以上に長く固定し続けると、関節が固まってしまい(拘縮)、かえってリハビリ期間が長引いてしまうからです。
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この時期は、炎症を抑え、痛みをコントロールしながら少しずつ動かす準備をする大切な期間で、運動はあくまで、肩関節にストレスをかけず運動は最小負荷であることが大切です。
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肩関節脱臼後に肩関節の痛みが強い時は薬や注射も活用する
肩関節脱臼後にリハビリを始めたいけれど、肩関節が動かせない…。
そんな時は、無理をせず医師に相談してください。
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鎮痛剤の内服や、炎症が強い場合のステロイド注射などは、急性期の痛みの悪循環を断ち切るために有効な手段です。
薬に頼りたくない我慢してリハビリが遅れるよりも、適切に医療の力を借りて、動かせる状態を作ることが回復への近道です。
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副作用を懸念する方はこちらもご覧くださいね。
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肩関節脱臼後ついにリハビリ実践!まずは肩甲骨から治す
肩関節脱臼後の本格的なリハビリがついに開始になります。
いきなり腕をぐるぐる回す…なんてことは絶対にしません。
むやみに動かせない時期はまず肩甲骨に注目します。

ステップ1:痛みのない範囲で肩甲骨を動かす
肩関節脱臼後のリハビリ初期段階で最も優先されるのは、肩甲骨の安定化です。
肩甲骨は、腕の土台となるパーツです。
ここがグラグラしていると、腕を動かしたときに関節に負担がかかります。
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自動介助運動: 良い方の手で、痛い方の腕を支えて優しく動かす。
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等尺性運動: 壁などを使い、関節を動かさずに筋肉に力を入れる。
これらを、痛みのない範囲で行います。
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ステップ2:インナーマッスルと感覚を鍛える
肩関節脱臼後に肩甲骨が安定してきたら、次は肩のインナーマッスルである回旋筋腱板(ローテーターカフ)や肩甲骨周囲の筋肉を強化します。

さらに重要なのが、固有受容感覚(こゆうじゅようかんかく)の改善です。
これは、「目を閉じていても腕がどの位置にあるか分かる感覚」のこと。
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脱臼するとこの感覚が鈍くなり、再び関節が外れそうな位置に行っても気づけなくなります。
バランスボールなどを使って、肩のセンサーを修理していくイメージで、動的な安定性を高めていきます。
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肩関節脱臼のリハビリは50代と若者では違う?年代別の注意点と再発リスク
肩関節脱臼のリハビリは、年齢や生活背景によってゴールが変わります。
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肩関節脱臼後の50代男性、女性は組織の治癒を優先し慎重に
肩関節脱臼後の10代・20代のスポーツ選手は「再脱臼」のリスクが非常に高いです。
一方で50代以降の女性の場合、再脱臼率は若年者に比べて低い傾向にあります。
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その代わり、組織の治癒能力や関節の状態を考慮した慎重なアプローチが求められます。
セラピストが動かした時の関節の感覚や、患者本人の不安定間の訴えなども参考に無理なハードなトレーニングをするよりも、まずは日常生活に支障がない可動域を取り戻すことを丁寧に目指しましょう。
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肩関節脱臼後に将来の変形性関節症や反復性肩関節脱臼を防ぐために今できること
肩関節脱臼後は再発しなければいいというだけではありません。
肩関節脱臼をした肩は、長期的には変形性関節症や反復性肩関節脱臼になるリスクがあります。

今のうちにしっかりリハビリをして、関節の位置を正しく保てるようにしておくことは、10年後、20年後の自分の肩を守ることにつながります。
このリスクをあらかじめ知識として保有しておき、根気強くリハビリを続けることが大切です。
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肩関節脱臼後のスポーツ復帰と自己管理、再発させない生活習慣
肩関節脱臼後に趣味のテニスやバレーボールなどに復帰したい場合は、さらに高いレベルのリハビリが必要です。
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肩関節脱臼後の復帰のサインはパワーと協調性
肩関節脱臼後に日常生活ができるレベルと、スポーツができるレベルは全く別物です。
スポーツ復帰には、競技特有の激しい動きや負荷に耐えられる筋力やパワーそして全身の協調性が必要です。

「なんとなく痛くないから」で復帰するのではなく、トレーナーや理学療法士による段階的な動作チェックをクリアしてから復帰しましょう。
肩関節脱臼後に自宅でできるセルフケアと姿勢の意識
肩関節脱臼後のリハビリは病院にいる時間だけではありません。 自己管理が回復の鍵を握ります。
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- ホームエクササイズ: 教わった運動を毎日続ける。
- 姿勢指導: 三角巾で固定していた時期の猫背姿勢は脱臼肩への負担を増やすため改善する。
- 活動制限: 「やってはいけない動き(脱臼肢位)」を正しく理解する。
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これらを徹底することで、あなた自身が主体的に治すというスタンスでいることが大事です。
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肩関節脱臼のリハビリ期間と全手順、固定からスポーツ復帰まで正しい期間と手順 まとめ
肩関節脱臼後のリハビリについて解説しました。
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肩関節脱臼後の固定期間は1〜3週間が目安。長すぎは禁物。
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肩関節脱臼後の最初のリハビリは肩甲骨の安定と生活上の管理から始める。
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リハビリは将来の肩関節症、反復性肩関節脱臼を防ぐためにも必須。
肩関節脱臼は怖い怪我ですが、正しい知識を持ってリハビリに取り組めば必ず良い状態を取り戻せます。
専門家と焦らず治していきましょう。
医療機関でのリハビリは終わっているけど、まだ肩の不安が拭えない方はぜひお声がけくださいね。
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として活躍した経歴がございます。
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参考文献
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Matache BA, Hurley ET, Wong I, et al. Anterior Shoulder Instability Part III-Revision Surgery, Rehabilitation and Return to Play, and Clinical Follow-Up-An International Consensus Statement. Arthroscopy. 2022. doi:10.1016/j.arthro.2021.07.019
Kearney RS, Ellard DR, Parsons H, et al. Acute rehabilitation following traumatic anterior shoulder dislocation (ARTISAN): pragmatic, multicentre, randomised controlled trial. BMJ. 2024. doi:10.1136/bmj-2023-076925
Kelley TD, Clegg S, Rodenhouse P, Hinz J, Busconi BD. Functional Rehabilitation and Return to Play After Arthroscopic Surgical Stabilization for Anterior Shoulder Instability. Sports Health. 2022. doi:10.1177/19417381211062852
Khiami F, Gérometta A, Loriaut P. Management of recent first-time anterior shoulder dislocations. Orthop Traumatol Surg Res. 2015. doi:10.1016/j.otsr.2014.06.027
Hill JR, Motley J, Keener JD. Rehabilitation after Shoulder Instability Surgery. Phys Med Rehabil Clin N Am. 2023. doi:10.1016/j.pmr.2022.12.007
Salles JI, Velasques B, Cossich V, et al. Strength training and shoulder proprioception. J Athl Train. 2015. doi:10.4085/1062-6050-49.3.84
Liew Z, Mazuquin B, Ellard DR, et al. Development of a single-session physiotherapy and self-management intervention for the treatment of primary traumatic anterior shoulder dislocation. Physiotherapy. 2021. doi:10.1016/j.physio.2021.06.002
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