・前鋸筋の作用と、どんな役割をしているのか知りたい。
・前鋸筋がそもそも肩のどこにあって、起始停止がどこなのかを理解したい。
・前鋸筋が痛い時の原因と対策に興味がある。
・前鋸筋を効率よく鍛える筋トレは?
・前鋸筋の痛みに効くストレッチは?
今回はそんな前鋸筋の作用を理解して、その上で痛み対策のストレッチ、効率の良い筋トレをご紹介します!
前鋸筋のアレコレが一気に理解できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。
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前鋸筋の作用について
まずは前鋸筋の作用についてお話しします。
教科書的な前鋸筋の作用は、
- 肩甲骨 外転
- (上部繊維)肩甲骨 下方回旋
- (下部繊維)肩甲骨 上方回旋
です。
「なんだよ〜肩甲骨の動きに作用するだけとか前鋸筋そんな大事じゃないな。」
「地味だな。」
って思った方いませんか?
実は前鋸筋には教科書的な作用以外に大いなる仕事があります。
それが以下の2つです。
- 肋骨-肩甲骨間に付いて、肩甲骨を安定させる
- 肩の挙上(バンザイ)に伴って、連動して動く肩甲骨の運動を形成する。
「やっぱり地味じゃないか!」
「っていうかよくわからない」
みなさんのこんな心の声が聞こえてきます。
ですがその重要度は高く、前鋸筋なしに肩は動かせないと言っても過言ではありません!
それくらい大事な前鋸筋のアレコレを基礎の基礎からカンタンにご説明していきます!
前鋸筋はどこにある?
前鋸筋はどこ?
とシンプルに答えるなら、肩甲骨と肋骨の間と答えれば間違いありません。
ご覧の通り、前鋸筋は肋骨から肩甲骨の内側縁にかけて広範囲に付着しています。
さらに細かく、骨のどの部分からどの部分に付くと言う部分をお話ししていきます。
前鋸筋の起始停止について
前鋸筋の起始はどこで、どこに停止するのかについてご説明します。
こちらをご覧ください。
これだけ大きな前鋸筋ですから、大きく3つに分けられます。
資料によっては上部・下部のみの2つの分けて紹介しているものもあります。
上部繊維
起始:第1,2肋骨
停止:肩甲骨上角
中部繊維
起始:第2,3肋骨
停止:肩甲骨内側縁
下部繊維
起始:第4-9肋骨
停止:肩甲骨下角
以下肩甲骨の付着部です。
上から上部、中部、下部となっています。
そんな地味と思われがちな前鋸筋ですが、もしも前鋸筋の筋力が弱いとどうなるかをご説明します。
前鋸筋が弱いとどうなる?
前鋸筋が弱いとどうなるのかですが、作用については先にご紹介しました。
実際に弱って前鋸筋が機能しない場合は、
- 肩甲骨を意識して動かしにくくなる
- 肋骨-肩甲骨間の引き付けが弱くなり、肩甲骨が浮いたような状態になる
- 肩の可動域や、筋力の発揮が十分に行えなくなる
前鋸筋の作用から逆算すると、このような状態になることがわかります。
代表的なのが2番目にご紹介した、
- 肋骨-肩甲骨間の引き付けが弱くなり、肩甲骨が浮いたような状態になる
です。
この状態を翼状肩甲と言い、天使のはねが浮いて見えるような状態です。
参考:日本整形外科学会HP
自然発生的に前鋸筋だけが弱くなることはまずありません。
もしも、翼状肩甲が起きている場合にどこが原因で前鋸筋が弱り、翼状肩甲となっているのかの鑑別が必要です。
これは整形外科への受診が適切です。
次は前鋸筋が硬いとどうなるのかについてお話しします。
前鋸筋が硬いとどうなる?
前鋸筋が硬いとどうなるについてですが、前鋸筋が機能しにくくなるという点では、先の前鋸筋が弱いとどうなると似たようなことが起こります。
- 肩甲骨を意識して動かしにくくなる
- 肋骨-肩甲骨間の引き付けが強すぎて、スキマがなくなる
- 肩甲骨の間でゴリゴリ音がなりやすくなる
- 肩の可動域や、筋力の発揮が十分に行えなくなる
このような弊害が考えられます。
翼状肩甲は起こりませんが、代わりに肋骨-肩甲骨間のスキマがなくなる影響で、肩の上げ下げでゴリゴリと音が鳴り、擦りあいが起こる場合が多いです。
この擦り合いも、繰り返せば炎症になる可能性があり注意が必要です。
改善するには、肩甲骨のスキマを作ることが大切になります。
俗にいう肩甲骨はがしのようなエクササイズが有効です。
少しだけ前鋸筋の痛みの原因について話した後に、エクササイズのやり方を詳しく紹介します。
前鋸筋が痛む原因と対策
前鋸筋が痛む原因ですが、腕や肩を酷使したあとや、誤った使い方をした時に筋肉痛のような痛みになることが多いです。
肋骨から肩甲骨の内側につくという構造上、直接のぶつけたりして外傷になることは少ない部分なんですよね。
ですので、対策としては硬くなったり、疲労している前鋸筋を伸ばしたりゆるめてあげることで、痛みを解消することができます。
具体的にどんなストレッチをしたらいいのか、誤った使い方にならないように効率の良い筋トレの方法をご紹介していきます。
前鋸筋が痛い時のストレッチ方法
前鋸筋が痛い時のストレッチ方法ですが、以下が有効です。
それぞれ、肋骨-肩甲骨間のスキマを広げて前鋸筋をストレッチする内容になっています!
肩甲骨のゴリゴリ音が気になる方にもぴったりの内容です!
このストレッチは実はあと2つあるのでInstagramの投稿を見てみてくださいね!
では次に前鋸筋を痛めにくく効率よく鍛える筋トレ方法をご紹介します。
前鋸筋を効率よく鍛える筋トレ方法
前鋸筋を効率よく鍛える筋トレ方法についてご紹介します。
前鋸筋は再三お伝えしているように、肋骨-肩甲骨間を引き付ける筋肉なので、筋トレではプレス系の種目が向いています。
こちらの論文では、
前鋸筋は
フラットベンチプレス≒インクラインベンチプレス>デクラインベンチプレス
の順で筋活動量が多かった。
半田徹,他:筋力トレーニングのベンチプレス系3種目における大胸筋、前鋸筋 および三角筋の筋電図学的研究.スポーツ科学研究, 5, 58-70, 2008.
と紹介されています。
ですので効率よく前鋸筋を鍛えるにはフラットベンチプレスもしくはインクラインベンチプレスをおすすめします。
また、同じ論文内で、
より効率的に負荷をかけるためには通常の挙上後のさらなる押し出しが必要になるであろう。
とも紹介されています。
プレス系の種目で働きやすい前鋸筋をさらに効率よく鍛えるイメージですね!
またインクラインベンチプレスがわからない方はこちらをご覧ください。
フラットベンチプレスは、ベンチの角度をフラットにして行うやり方になります。
参考:ビーレジェンドHP
前鋸筋の作用や痛み対策について詳しくご理解いただけたでしょうか。
最後に前鋸筋の作用を理解し痛み対策!効率の良い筋トレ、ストレッチも!のまとめに移ります。
前鋸筋の作用を理解し痛み対策!効率の良い筋トレ、ストレッチも!まとめ
前鋸筋の作用を理解し痛み対策!効率の良い筋トレ、ストレッチも!のまとめです!
・前鋸筋の教科書的な作用は
- 肩甲骨 外転
- (上部繊維)肩甲骨 下方回旋
- (下部繊維)肩甲骨 上方回旋
で、実際には以下のような仕事を行ってくれる肩の挙上に欠かせない筋肉です。
- 肋骨-肩甲骨間に付いて、肩甲骨を安定させる
- 肩の挙上(バンザイ)に伴って、連動して動く肩甲骨の運動を形成する。
・前鋸筋の痛みの対策として肩甲骨のスキマを広げて前鋸筋を伸ばす3つのストレッチをご紹介しました。
Instagramの投稿にはあと2つストレッチがあるのでぜひご覧ください!
・前鋸筋の効率の良い筋トレは、プレス系種目が有効です。
特にフラットベンチプレス≒インクラインベンチプレスがおすすめです!
以上、前鋸筋の作用を理解し痛み対策!効率の良い筋トレ、ストレッチも!でした!
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。
実際に治療を受けてみたい方はこちらから
少しでも肩の症状にお悩みの方の助けになりたいので、インスタのフォロー、記事のシェアもよろしくお願いします!
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