クアドリラテラルスペース症候群はどんな症状でどの筋肉に影響する?

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肩のトラブル
  • クアドリラテラルスペース症候群のような痺れやだるさの症状が肩と腕に出ている
  • 肩の後ろから外側にかけての筋肉痛がある
  • 肩関節周囲炎と言われたがなかなか症状が治らず、クアドリラテラルスペース症候群の可能性を考えている
  • 野球の投球や、バレーのサーブ、スパイク動作で痛みやしびれが出る。

 

この記事前半ではクアドリラテラルスペース症候群の症状構成している筋肉や神経といった初歩的な部分をお伝えします。

 

記事の後半では、クアドリラテラルスペース症候群の発生する原因や影響する筋肉、判別するテスト、対処法について説明しています。

理学療法士ならではの専門的な視点で解説しますので、ぜひ最後までご覧になってください。

筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。

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クアドリラテラルスペース症候群の症状とは?

クアドリラテラススペース症候群は主に下記の症状が起こります。

  • 腕が上がりにくい 
  • 肩の外側や腕の痛み
  • 肩の外側のや腕の痺れ

またクアドリラテラル症候群はカタカナ英語なので、クワドリラテラルスペース症候群、クアッドリラテラルスペース症候群とも言われています。

英語でQuadrilateral Space (略してQLS)Syndrome

日本語で四辺形間隙症候群とも言われていますが、一般的にはカタカナ英語表記のクアドリラテラル症候群が一般的かと思われます。

 

では、なぜこのような症状が出現するのか。

クアドリラテラルスペースを構成している筋肉や神経について順番にお話しします。

 

クアドリラテラルスペースを構成する筋肉は?

クアドリラテラルスペースを構成している筋肉は3つです。

 

  • 小円筋(しょうえんきん)
  • 大円筋(だいえんきん)
  • 上腕三頭筋長頭(じょうわんさんとうきんちょうとう)

この3つの筋肉がクアドリラテラルスペースを構成しています。

加えて1つの骨

  • 上腕骨

Thanks to Visiblebody

 

この4つの重なる部分にわずかな隙間があり、これがクアドリラテラルスペースと呼ばれています。

右図の白く点線で囲ってある四角部分こそクアドリラテラルスペースです。

 

クアドリラテラルスペースを構成する神経は?

クアドリラテラルスペースを構成している神経は、腋窩(えきか)神経です。

腋窩神経は首から、肩甲骨の裏側を通り、上腕骨を巻きつくように走り、後上腕回旋動脈と併走しています。

右図のウネウネしている青っぽい組織です。(実際は青ではありません)

その腋窩神経が右図のクアドリラテラルスペース(白い点線部分)と一部被っているのがわかるかと思います。

この腋窩神経の支配は、肩の三角筋と小円筋です。

三角筋は肩の

  • 屈曲

  • 外転

  • 伸展

小円筋は肩と肩甲骨の奥で腋窩のあたりに位置し、肩の

  • 外旋(1st,2nd,3rdポジション)*写真は1st,2ndポジション

そのため、この腋窩神経が圧迫されると、肩の

  • 屈曲
  • 外転
  • 伸展
  • 外旋

という動きが難しくなります。

 

では腋窩神経が圧迫され、クアドリラテラルスペース症候群が起きる原因は何なのかについて説明していきます。

 

クアドリラテラルスペース症候群が発生する原因は?

クアドリラテラルスペース症候群が発生する原因についてアメリカの手の外科の論文をご紹介します。

クアドリラテラルスペースを構成している筋肉が、腋窩神経を圧迫すること’

Bernard R. Cahill, Ronald E. Palmer:Quadrilateral space syndrome. The Journal of  Hand Surgery. 8(1)P65-70,1983. 

と報告されています。

なぜ圧迫が起きるのかをクアドリラテラルスペース症候群が発生しやすい3つのスポーツから逆s何して考えてみます。

 

  • 野球
  • バレーボール
  • テニス

 

主にこれら3つのスポーツでクアドリラテラルスペース症候群は起こりやすいです。

3つのスポーツ競技動作の共通項と、腋窩神経を圧迫する順番は以下に説明します。

  1. 腕を振り上げたり、内外に捻るような動きを慢性的に繰り返す
  2. クアドリラテラルスペースを構成する筋肉が硬くなる、もしくは腫れる
  3. 硬くなった(腫れた)筋肉が腋窩神経を圧迫する

 

こういったプロセスで、3つの筋肉は硬くなる、あるいは腫れます。

するとクアドリラテラルスペース(右図の白い点線)は狭小し、腋窩神経を挟み込み、痛み、しびれ、脱力感を起こします。

 

また、スポーツ動作以外にも、デスクワークなどで前かがみの姿勢が長時間続くことでも、腋窩神経が圧迫されることもあります。

では、実際に腋窩神経を圧迫すると、どんな筋肉に影響が出るのでしょうか。

 

クアドリラテラルスペース症候群はどの筋肉に影響する?

クアドリラテラルスペース症候群はどの筋肉に影響するのかをお話します。

神経のパートで紹介した通りですが、影響を受けるのは三角筋、小円筋です。

クアドリラテラルスペースを構成する筋肉と一緒にならないように注意しましょう。

 

三角筋は肩の3つの動作に関与しています。

  • 屈曲

  • 外転

  • 伸展

トラブルが生じると全般的に腕を上げにくくなります。

小円筋に関しては肩の外旋動作に作用しているので、腕を外側に捻る力が入りにくいです。

 

また、神経の圧迫がひどいと筋萎縮といって見た目にも筋肉が痩せてきてしまいます。

これらの症状は、クアドリラテラルスペースにトラブルがあるとそこを通る腋窩神経が支配している筋肉に影響を及ぼすためです。

 

では、実際に自分がクアドリラテラルスペース症候群かどうかをテストするにはどうしたら良いのでしょうか。

 

クアドリラテラルスペース症候群かどうかを判定するテストは?

クアドリラテラルスペース症候群かを判定するテストが3つありますので、そのテスト方法をご紹介します。

 

クアドリラテラルスペース症候群鑑別テスト1(大円筋)

  • 肩関節外転90°とし、肘は伸ばす
  • その位置から肩関節を外旋する
  • 肩関節外側部に痛みを生じれば陽性

 

クアドリラテラルスペース症候群鑑別テスト2(小円筋)

  • 肩関節外転90°とし、肘は伸ばす
  • その位置から肩関節を内旋する
  • 肩関節外側部に痛みを生じれば陽性

 

クアドリラテラルスペース症候群鑑別テスト2(上腕三頭筋)

  • 肩関節外転90°とし、肘は伸ばす
  • その位置から肘関節を屈曲する
  • 肩関節外側部に痛みを生じれば陽性

 

これら3つのテストは、クアドリラテラルスペースを構成する筋肉を伸長し、神経の圧迫を誘発することで判別する方法です。

この3つのテストのうち、どれか一つでも当てはまれば陽性だから病院にいった方が良いというものではなく、3つ全てのテストを行うことが大切です。

では実際にクアドリラテラルスペース症候群のテストが陽性だった場合はどう対処していくのでしょうか。

 

クアドリラテラルスペース症候群の対処方法は?

先にご紹介したテストが陽性の場合はクアドリラテラルスペース症候群の可能性があります。

その対処方法となるストレッチ、トレーニング方法を2つお話します。

 

・クアドリラテラルスペース症候群症状の改善ストレッチその1

ステップ1:腕を上げて、肘を曲げて、手は首の後ろに持っていきます

ステップ2:反対の手で、肘をつかむ

ステップ3:肘を下から上方向へ押し、上腕後面を伸ばし、20秒ホールドする

 

 

・クアドリラテラルスペース症候群の症状改善ストレッチその2

ステップ1:腕を上げて、反対側に手をもっていく

ステップ2:反対の手で、手首をつかむ

ステップ3:つかんだ手首を反対側(右手なら左側に)に引っ張り、20秒ホールドする

(参考文献 辻野昭人ほか:末梢神経障害-基礎と臨床のすべて 腋窩神経障害.整・災外51:545-553, 2008.)

ストレッチによって、クアドリラテラルスペースを構成する筋肉の硬さを軽減して、腋窩神経へ圧迫を減らすことで改善を図ります。

まずはこの2つのストレッチとトレーニングを1週間やってみましょう。

それでも痛みがあるようなら一度整形外科を受診しましょう。

 

クアドリラテラルスペース症候群はどんな症状でどの筋肉に影響する?まとめ

クアドリラテラルスペース症候群はどんな症状でどの筋肉に影響する?のまとめです。

 

  • クアドリラテラルスペース症候群は、腕が上がりにくい、肩の外側に痛みや痺れがある、腕が重たいといった症状です
  • クアドリラテラルスペースを構成している筋肉小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭神経腋窩神経です
  • クアドリラテラルスペース症候群の原因は、スポーツ動作や不良姿勢によって筋肉が硬くなり、腋窩神経を圧迫することです
  • 腋窩神経の圧迫により影響を受けるのは、三角筋と小円筋です
  • クアドリラテラルスペース症候群かを判定するテストは3つ全てやることが大切です
  • クアドリラテラルスペース症候群の症状を改善するためには、ストレッチ(状態によっては安静)が必要です

 

筆者:いしP 

理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。

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