「肩甲骨の内側がピリピリする」
「肩甲骨の左側ばかり痛むけど、姿勢のせい?」
そんなお悩みを持つ方は少なくありません。
デスクワークやスマホの長時間使用による筋肉疲労はもちろん、まれに内臓疾患が関係している場合もあります。
この記事では、肩甲骨の左内側が痛む主な原因をご説明します。
それ以外にも筋肉由来の痛み、内臓由来の痛みの特徴をお伝えしますので、自分の肩甲骨の左側の痛みはどちらの可能性が高いのかということも理解できます。
また、理学療法士目線でのストレッチやセルフケア法、医療機関に行く目安まで詳しく解説します。
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として活躍した経歴がございます。
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肩甲骨の左内側が痛む4つの原因とは
肩甲骨の左側の痛みの背景には、以下の4つの原因が考えられます。
- 肩甲骨の左側筋肉を過度に使いすぎ(主に僧帽筋、菱形筋)
- 頸椎や胸椎の関節異常・神経圧迫による肩甲骨痛
- 心臓・大動脈など循環器系の関連痛による肩甲骨痛
- 胃・膵臓など消化器の関連痛による肩甲骨痛
筋肉由来の痛みであれば、ストレッチや姿勢改善で軽快するケースが多い一方、内臓疾患に起因する場合は、姿勢や動きに関係なく痛みが出ることが特徴です。
それぞれの痛みの特徴と対処法についてご紹介していきます。
肩甲骨の左側の筋肉を過度に使いすぎた時の痛みの特徴と対処法
肩甲骨の内側(左側)には、
- 僧帽筋
- 肩甲挙筋
- 菱形筋
などの筋肉が付着しており、これらが過剰に緊張すると肩甲骨に鈍痛やピリピリとした違和感を引き起こします。
肩甲骨の左側のよくある筋肉疲労パターン
- 左肩にバッグをかけるクセ
- 左腕で頬杖をつく
- 左足に重心をかけた立位
- パソコン・スマホ操作時に前かがみ
これらの不均等で、左側に局所的に負荷のかかる姿勢を取ることで、左肩甲骨に痛みが出現することがあります。
ではこの痛みに対してどう対処したら良いのか。
ストレッチをご紹介します。
肩甲骨の左側の筋肉疲労に対して効果的なストレッチ
-
肩甲骨を寄せて広げる「肩甲骨はがし」ストレッチ
👉 肩甲骨はがしストレッチのやり方はこちら -
デスクワーク姿勢の改善
👉 巻き肩改善ストレッチ3選はこちら
これらを継続しても改善しない場合は、整形外科での診断をお勧めします。
肩甲骨左側の痛みに対して背骨や関節の異常が原因の時の特徴と対処法
肩甲骨左側の痛みに対して、背骨や関節の異常が原因のケースもあります。
頸椎〜胸椎の関節に異常があり神経痛のような痛みとして発症します。
特徴的なのは、次のような症状です。
- 首を動かした時に肩甲骨左側のあたりに痛みやしびれが広がる
- 腕の力が抜ける、肩甲骨左側あたりの感覚が鈍い、熱感がある
背骨や関節の異常により神経にトラブルが起こる代表的な疾患には、
- 頸椎ヘルニア
- 胸椎椎間板症
- 頸椎捻挫(寝違え) などがあります。
対処法ですが先ほどのようにストレッチやエクササイズで対処することは適切ではありません。
こちらの論文では、
猫背や長時間の同一姿勢による筋膜炎で、肩甲骨内側に痛みを生じる。
とされておりますので、肩甲骨左側の痛みとも関係がありそうです。
Ormandy, L. Scapulocostal syndrome. Virginia medical quarterly : VMQ, 121 2, 105-8 .1994.
肩甲骨内側のチクチク感についてはこちらの論文で、
脊柱や椎間板の変性、長期間の寝たきり、または筋肉の圧迫による脊髄神経後根の第 2~6 胸椎枝の圧迫によって引き起こされると報告されています。
Nakagawa, H., & Miyata, Y. An Underdiagnosed Cause of an Itchy Back. Internal Medicine, 60, 1983 – 1983.2021.
こちらの論文では
上横肩甲靭帯(STSL)は骨化しやすく、肩甲上神経が圧迫されることで関連症状を引き起こします。
と述べられており、こちらも部分的には肩甲骨左側の痛みと関連がありそうです。
Desai, U. Complete ossification of Superior transverse scapular ligament (STSL) in dried human scapulae in Gujarat region: A risk Factor for Suprascapular nerve compression. International journal of scientific research, 3, 509-512.2014.
このような症状がある場合には無理な運動は控えましょう。
自己判断はやめて早めに整形外科を受診をお勧めします。
肩甲骨の左側の痛みに対して内臓や血管が原因の時の特徴と対処法
肩甲骨の左内側の痛みは、かなり稀ですが内臓の病気のサインである可能性もあります。
以下のような場合には即時対処が必要です。
心臓や大動脈の異常(循環器系)
- 狭心症・心筋梗塞
- 大動脈解離
上記の特徴としては
- 安静にしていても痛い
- 息苦しさや動悸を伴う
- 背中や肩、あごまで痛む
対処法としては少しでも早く医療機関を受診すること。
場合によっては救急車を呼ぶなど救急対応を行うことです。
命に関わるケースもあります。
肩甲骨左側の痛みに対して胃・膵臓などが原因の場合の特徴と対処法
肩甲骨の左内側の痛みは、先ほどより重症度が低いですが心臓や循環器系以外でも内臓の病気のサインである可能性もあります。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 急性・慢性膵炎
上記の特徴としては
- 食後や空腹時に痛む
- 痛みが持続する
- 胃の不快感や吐き気を伴う
対処法としてはこちらもストレッチやエクササイズでは改善しないため、消化器や内科での受診が必要です。
最後に受診の目安や判断基準をまとめます。
肩甲骨の左側が痛い時の受診目安と判断基準
筋肉由来(姿勢・疲労) |
ストレッチや姿勢改善で軽快 |
長引く場合は整形外科 |
骨関節や神経由来 | 自己判断NG | 整形外科で検査 |
胃や膵臓由来 | 自己判断NG | 消化器科・内科受診 |
心臓・血管系由来 |
危険 絶対NG | 救急車 or速やかに医療機関受診 |
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肩甲骨の左内側が痛い原因とは?筋肉か内臓かを見極める方法 まとめ
- 肩甲骨の左内側が痛い場合、筋肉・関節・内臓など多くの可能性がある
- 筋肉の痛みの場合は姿勢や日常動作を見直し、セルフケアから始めるのは◎
- そのほかの場合は医療機関を受診しましょう
- 心臓や血管性の痛みに当てはまる場合は必ず医療機関を受診する
「なんとなく気になる」段階で早めに対処することが、将来的な不調を防ぐ大きなポイントです。
不安なことがあれば、YouTubeコメントからもお気軽にご相談ください。
筆者:いしP
理学療法士を15年、年間7500人以上の肩のトラブルを抱えた人が来院する整形外科で、五十肩リハビリ治療責任者として在籍中しています。
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